「フィルタリング」というのは、薄めた塗料でキット全体の色調を落とす塗装方法のことです。
全体にフィルターをかける塗装法なので、「フィルタリング」と呼ばれています。ウェザリングの一種でもありますね。
戦車のプラモデルではよく使われているテクニックで、簡単に汚れた雰囲気が出すことができます。
やってみるとけっこう簡単に変化が生まれるので、すっごい楽しい技法でもあります。
今回は、フィルタリングのやり方を説明しようと思います。
フィルタリング実践
実際にやってみるため、プラ板を用意しました。
効果をわかりやすくするため、プラ板の中央に線を引いてます。
フィルタリングをする前に、プラの面を800番ほどのスポンジヤスリで擦っておきます。
そうすることによって面が荒れ、薄めた塗料が定着しやすくなります。
なにも処理をしていない、つやっつやの面だと塗料をほとんどはじいてしまうんですよね。
ヤスリを掛ける以外にも、つや消しスプレーを吹く、という手もあります。
準備が済んだので、さっそく色を塗っていきましょう。
フェルタリングは「エナメル系塗料」か「水性塗料」「油彩塗料」を薄めて使うの一般的です。
ですが、今はウォッシング専用の「Mrウェザリングカラー」が販売していますのでそちらを使います。
色は10種類以上のラインナップがあるんですが、もっとも使いやすいであろうマルチグレーを選びました。
で、実際の工程なんですが、薄めた塗料を、平筆でささっと塗る。これだけです。
ウェザリングカラーは既に薄まった状態で販売されているので、ほんとにただ塗るだけです。
注意点としては、プラモってけっこう凹凸があるので、へこんだところに塗料が溜まりやすいです。
へこんでいるところに色が溜まっていると、ものすごく不自然な感じになりますので、全体の色味を均等に落とすように、筆に付ける塗料の量を調整して塗っていきましょう。
もしフェルタリングにエナメル塗料や油彩塗料を使う場合は、専用の溶剤を使って適度に塗料を薄める必要があります。
ただ、もしフィルタリングに「エナメル塗料」を薄めて行うときは、エナメル割れには注意が必要です。
エナメル塗料には、浸透性が強く、わずかにプラを劣化させる特性があります。
ウェザリングカラーは油彩塗料に近い性質を持っているらしいので、エナメル塗料ほど割れに対して敏感にはならなくていいという特徴があります。
色を付けた後、ティッシュなどでふき取れば色味も安定します。
ぽんぽんと、かるーく叩くようにふき取るのがコツです。
一回目でほとんど色が付かなくても、何回か繰り返すときちんと定着します。それでも色が付かない場合は、もう一度ヤスリで面を荒らすところからスタートしましょう。
アーバレスト(写真の機体)の左側にだけフィルタリングをした写真です。
左側は、どことなく『使い古された』感が出ていませんか? これだけでずいぶん雰囲気が変わったと思います。
フィルタリングは、ウェザリングだけでなく、全体の色調を合わせる効果もあります。
機会があればそちらの効果についても説明しようと思いますが、ちょっと全体の雰囲気を変えてみたい方は「マルチグレー」や「マルチホワイト」を使うだけでOKです。
簡単フェニッシュにも使えるので、ぜひ試してみてくださいね。