模型用の水性塗料と聞けば、クレオスさんの『水性ホビーカラー』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
水性ホビーカラーはその名の通り、水で塗料を薄めたり、筆を洗ったりすることができます。また、塗料独特の臭いも少なく、安全性が高いという特徴があります。
ただ、塗膜の強さや隠ぺい力など、ラッカー系塗料と比べて見劣りする部分があり、使っている方はあまり多くない、という印象です。
ですが、水性ホビーカラーは2019年11月にリニューアルされ、全体的にアップグレードされ、はるかに高性能の物へと進化しました。(「AQUEOUS」と記載されているのが、新水性ホビーカラーとなります)
ラッカー系塗料の方が性能が高いとはいえ、家の環境や体質で使うことが出来ないという方もいらっしゃると思います。
と、いうことで今回は、リニューアルされた新水性ホビーカラーがどんなものなのか、ちょっと検証してみました。
エアブラシを使用するよりは筆で塗りたい、と思う方が多いと思うので、今回は筆塗りでの検証がメインとなります。
一回目の筆塗り
塗装対象はこちら。100円ショップに売っている磁石に、サーフェイサー1200番を吹いたものです。
使用した色は「キャラクターイエロー」「コバルトブルー」「モンザレッド」の3色です。
単純にガンダムによく使われるカラーで選びました。
一回目の筆塗り。
塗料は、特に薄めたりせず、そのまま使用。ちなみに筆は100均のものを使っています。
青は下地のグレーが透けています。
黄色はじゃっかんの透けがありますが、ほぼ下地のグレーは見えません。
赤に至ってはほとんど下地のグレーを色を覆い隠してしまいました。
実は、今回使った色は、すべて隠ぺい力がそれほど強くない、と言われています。
ですので、下地がグレーはどうかな・・・と思っていたのですが、思った以上に綺麗に塗れてしまいました。
青は思った通りの結果になりましたが、黄色と赤は思っていた以上に隠ぺい力が高く、驚きました。
二回目の筆塗り
2回目の塗装です。
青はやはり下地が透けたままです。
黄色は更に発色がよくなりました。
赤は写真ではほとんど変化がありませんが、もうほとんど下地のグレーを感じさせません。
ちなみに2回目の筆塗りまでに取った乾燥時間は40分くらいです。
乾燥時間は塗り方や気温によっても変わりますので、参考程度にしてほしいのですが、以前の水性ホビーカラーと比べてかなり早くなった印象です。
それとひとつ補足なんですが、今回は下地がグレーなため使った色は、全体的に綺麗に発色していません。
これは水性ホビーカラーの性能が悪いというより、塗料というのは基本的にそういうものだ、と考えた方がいいです。
白の上に赤を塗ると綺麗な赤になりますが、黒の上に赤を塗ると濁った赤になります。
自分も、この3色を使う時は(ラッカー系でも)きちんと下地を作るようにしています。
下地に影響されずに色を塗る方法は?
とはいえ筆塗りの場合ですと、下地を作るのも大変かもしれません。
基本的に、水性ホビーカラーは筆で重ね塗りすると下の色が溶けだしてしまって、なんだか汚い色になってしまいます・・・。
そういうときは、同じ水性塗料であるアクリジョンの『ベースカラー』を使うのがおすすめです。
アクリジョンの『ベースカラー』はどれも素晴らしい隠ぺい力を持ち、サーフェイサー1200番の上から塗っても、一回で簡単に塗りつぶしてしまいます。
また、アクリジョンは塗膜が強く、上にラッカー系塗料を塗っても問題ありません。
水性塗料だと、アクリジョンで作った下地が溶けだしてくることはまずありませんので、その上からコバルトブルーを塗ると一発で綺麗に発色してくれます。
また、塗装をする場合、グレーなどの暗い色の部分に、青や黄色を塗りたい場合もあるでしょう。
そういうときも、同系色の『ベースカラー』を使えば簡単に色を変えることが出来るので、とても重宝するはずです。
アクリジョンについては知りたい方は、こちらの記事もご参考ください。
すみ入れは出来る? エナメル塗料との相性は?
次はスミ入れを試してみました。
使用したのはタミヤの「スミ入れ塗料ブラック」です。
性能としてはエナメル塗料に近く、使用している方もいるのではないでしょうか?
まずは、モンザレッドを塗った塗料に、ブラックですみ入れをします。
乾いた後にエナメル溶剤をしみ込ませた綿棒を使い、はみ出したところをふき取ります。
なんと、ほとんど塗膜に影響を与えず拭き取ることができました。
多少は下地の赤が溶けだしていますが、この程度であれば充分、許容できる範囲です。
ついでにエナメル塗料を筆でがっつりと塗ってみました。
これでも下地が溶けだす、ということはありませんでした。普通に塗れています。
ただ、ここまでがっつりと塗ってしまうと、拭き取った後、下地にまったく影響を与えない、とは言えないかもしれません。
写真ではわかりずらいですが、なんども拭き取っていくと、やはり下の色が薄くなっていきます。
ですが、エナメルはちょっとしたところの塗り分けや、すみ入れがメインとなる塗料です。
ここまでがっつりと塗ってしまった後にふき取ることは稀ですので、いちおうエナメル系塗料でのすみ入れ、塗り分けも可能と言っていいと思います。
ちなみに、水性ホビーカラー同士の重ね塗りはあまり相性が良くありません。
なぜかと言いますと、下地が溶けだしてくるからです。
どうしても重ね塗りをしたい方は、完全に乾燥させるまで待ちましょう。
そうすれば、塗料が溶けだすのを最小限に防ぐことが出来ます。ただ、水性ホビーカラー同士の重ね塗りは、やはりちょっと難しいかもしれません。
結論
最近では「ファレホ」「シタデル」といった水性塗料を使っているのを見かけます。
このふたつは愛用している方もいますし、実際その塗料を使った完成品を見ても、性能が高いことがわかります。
ただ、「ファレホ」は手に入りずらく、「シタデル」は値段が高めです。
水性ホビーカラーはなにより値段が安く、手に入りやすい塗料です。
そして塗料としての性能は、充分なものだと思いました。
すこし工夫は必要かもしれませんが、安全性も高く、メインで使っても問題ない塗料だと思います。