塗装の下地として古くからモデラーに使われてきたサーフェイサー。
そんなサーフェイサーに、水性のタイプが発売されました。
水性なので安全性は高く、臭いがほとんどないため、有機溶剤が苦手な方でも安心して使えるサーフェイサーになっています。
しかし、ラッカー系のサーフェイサーとの違いも気になる所です。
と、いうことで今回は、水性サーフェイサーの性能を検証してみようと思います。
缶タイプ、瓶タイプとありますが、今回はエアブラシで使用する瓶タイプのレヴューとなります。
水性サフの希釈は?
水性サフも、エアブラシで吹くには希釈(薄める)必要があります。
水性なのでもちろん水でも薄めることが出来ますが、専用の薄め液を使った方が乾燥が早くなるのでおススメです。
希釈の濃度は1:1です。2倍希釈でおこないました。
ちなみに水性サフの臭いなんですが、わずかに薬品の様な刺激臭がします。専用薄め液と同じような臭いですね。
ただ、そんなに強烈な臭いではないので、瓶に鼻を近づけない限りそれほど気になりません。
水性サフ実践! 隠ぺい力は? 基本はやはり重ね塗り
さっそく塗っていきます。
隠ぺい力を見るため、白と黒の下地を用意しました。
水性ホビーカラーの場合、プラスチックの表面をはじいてしまう感覚があるため、ラッカー系塗料とは吹き付けた感じが違います。
そのため、上手に色を乗せるには薄く塗り重ねていく必要があります。
水性のサーフェイサーの場合、水性塗料ほどではありませんが、やはり同じようにプラスチックをはじく感覚がありました。
だいぶラッカー系のサーフェイサーに近い感覚ではありますが、やはり薄く、何度か重ねていった方がいいと思います。
一回目はこれくらい。うっすらと色が付くくらいです。
ちなみに、すごく薄く色を乗せているので、塗料はすぐに乾きます。
ハンドピースから空気だけを出して、しゅーっと塗膜にあてると、心なしか乾くのも早くなりますね。
2回、3回と重ねると、白下地も黒下地も覆い隠し、綺麗なグレーになりました。
隠ぺい力はかなり高めと言っていいんじゃないでしょうか?
基本的には3回ほど重ねると綺麗な塗膜になります。
水性ホビーカラーと吹き方は近いので、よろしければこちらもご覧ください。
どこまでのヤスリ傷が消せるのか?
さて、水性サフ、次の問題です。
サーフェイサーには細かい傷を消す目的もあるんですが、水性の物はどれほどの性能があるのか試していきます。
400番、600番、800番でヤスリを掛けたものに水性サフを3回塗り重ねてみました。
400番です。
傷が消しきれていません。
600番。
やや傷が見えます。
800番。
600番ほどではありませんが、傷が見えてしまいます。
ラッカー系の場合だと、600番~800番ほどのヤスリの傷は、ほとんど消えてしまう場合が多いです。
水性サフの場合、ラッカー系に比べて、傷を消す性能はやや劣ると、いった印象です。
もし傷を消したい場合、希釈を濃くするか、重ね塗りの回数を増やす必要がありそうです。
ただ、完成品につや消しのトップコートを吹く場合はその限りではありません。
水性タイプであれば、「プレミアムトップコート」をおススメします。
つや消しスプレーを吹いてみました。左から400、600、800番になります。
400番のヤスリ傷はさすがに無理でしたが、600番と800番はほとんど見えなくなりました。
実は、つや消しスプレーを吹くと、わずかな傷は消えてなくなってしまうという不思議な現象が起きます。(厳密に言えば見えなくなっているだけですが)
つや消しのトップコートまで考えていると、600番、800番までのヤスリ傷は3回の重ね塗りでも充分に効果がありそうです。
水性の白サフも試してみました!
水性のサフには色が白のタイプも同時発売されています。
同じような条件で試してみました。ただし、片方は下地が白ではなくグレーにしています。
同じように3回重ね塗りしました。けっこう隠ぺい力が強くて、両方とも思った以上に綺麗な白になっています。
白はガンプラでは塗る機会の多い色です。これは下地としてはかなりいいのでは?
そして白サフの最大の特徴は、色を混ぜてカラーサフを作ることが出来ることです。
水性ホビーカラーと混ぜて、赤の下地としてよく使われるピンクのサフを作ってみました。
3回の重ね塗り後。
もはや下地というよりは、本塗装と言えるほど綺麗な下地になっています。
遊びで、近くにあった空瓶の蓋に吹いてみましたが、きちんとピンクになりました。隠ぺい力も高めです。
もちろん、他の色を混ぜてもいいので、白サフの性能としては申し分ないものではないでしょうか?
水性のサフは洗剤で落とせるか?
水性塗料といえば、お風呂用洗剤で色を落とすことが出来る、というのが有名になりました。
実はお風呂用でなくても洗濯用洗剤なら落とすことが出来るのですが、水性サフでも落とせるか試してみました。
結果、落とすことが出来ました。(ちなみに使った洗剤はアタックです)
これなら、サフに失敗しても同じように洗剤でやり直すことが出来ます。
結論 水性サフは使える!
結論を言いますと、水性サフ、使えます。
特に、高めの隠ぺい力がある、下地としての塗料には最適だと思います。
今まで、下地として使える水性塗料は、安価なものではあまりありませんでした。
水性塗料の最大の特徴である安全性はもちろん、臭いもきちんと換気をしていればすぐに散ります。
発売はクレオスなので、手に入りやすいのもいいですね。
ラッカー系の溶剤の臭いが苦手な方も使える水性のサーフェイサー。
興味が出ましたら、ぜひ試してみてくださいね。
それでは。